内容確認日:2026年10月6日
会社売却を考え始めた段階では、売ると決める前に「残したいもの」「確認が必要なこと」「誰にどこまで伝えるか」を整理しましょう。このページでは、広島で事業を続ける経営者が初回相談に持っていける確認表と、従業員・取引先・金融機関への説明の進め方をまとめます。
相談前に、守りたい条件と未決定のことを整理する
譲渡価格だけで希望をまとめると、雇用、取引、拠点、代表者の引継ぎ期間などの判断が後回しになります。まずは次の表を埋め、決まっていない欄は「未定」としてください。家族や役員と考えが分かれている事項も、相談で確認する材料になります。
| 確認すること | 書いておきたい内容 |
|---|---|
| 検討する理由 | 後継者、年齢、採用、設備更新など。困っていることと、相談で知りたいことを分ける。 |
| 検討時期 | すぐの譲渡か、数年先の準備か。急ぐ事情がある場合はその理由も記す。 |
| 雇用と現場 | 残したい役割、拠点、働き方。代表者にしかできない業務があるか。 |
| 取引と屋号 | 継続してほしい取引、社名・屋号・ブランドについての希望。 |
| 代表者の関与 | 譲渡後に残れる期間と業務。完全に退任したい時期。 |
| 借入と保証 | 借入、担保、経営者保証、役員借入金の有無。分からないものは確認先を記す。 |
| 情報開示 | 今の段階で相談できる相手と、まだ伝えたくない相手。 |
| 他の選択肢 | 親族内承継、役員・従業員承継、一部事業の譲渡など、比較したい方法。 |
それぞれを「優先する条件」「相談して決める条件」に分けると、買い手を探す前に判断の軸を共有できます。希望を記しただけで契約上の保証になるわけではないため、実際の交渉では実行方法まで確認します。
初回相談では、資料の所在と不足を確認する
初めから大量の資料を送る必要はありません。どの資料があり、誰が管理し、何が分からないかを一覧にしてください。社名を伏せたい段階では、業種、県内の大まかな地域、事業規模、検討理由などから相談を始め、詳細資料を共有する方法は担当者と確認します。
| 資料の分野 | 所在を確認するもの | 相談で確認する点 |
|---|---|---|
| 財務 | 決算書、税務申告書、月次試算表 | 直近の業績変化、一時的な収入・費用、資料の不足 |
| 借入・資産 | 借入明細、保証・担保の資料、固定資産台帳、リース契約 | 会社と代表者個人の資産・債務が混在していないか |
| 取引・契約 | 主要契約、取引別売上、受注残、賃貸借契約 | 相手方への通知・承諾など、承継に関わる条件があるか |
| 人材・業務 | 役割別の人員体制、資格、業務手順 | 代表者や特定社員に依存する業務、引継ぎの担当者 |
| 許認可 | 許可証、指定通知、更新・変更の記録 | 譲渡方法によって必要な手続が変わるか、確認窓口はどこか |
| 事業の現場 | 設備・車両・在庫、保守記録、品質管理、顧客対応の記録 | 譲渡後も業務を続けるために必要な人・設備・費用 |
従業員名簿、顧客名、個人の連絡先、決算書や契約書の原本などは、共有目的・相手・方法を確認してから提出してください。初期の確認表では、個人名を役割名に置き換える方法も考えられます。
匿名相談と候補先への開示は、段階を分ける
社名を伏せても、詳しい所在地、特殊な設備、取引先の組合せなどから会社を推測される可能性があります。匿名概要を作るときは、単に社名を削るだけでなく、特定につながる情報も確認しましょう。
- 初期相談:相談の目的と希望を共有し、支援する業務、秘密保持、費用、今後の確認事項を整理する。
- 候補先の検討:打診する相手と、匿名概要に載せる情報を確認する。競合や既存取引先との関係にも配慮する。
- 詳細資料の開示:秘密保持契約の内容、開示相手、利用目的、閲覧範囲を確認してから進める。誰に何を渡したかを記録する。
これは情報開示の進め方の例です。資料の内容や候補先の立場によって順序は調整します。秘密保持契約だけで情報管理が完了するわけではありません。中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」も確認し、開示条件は支援者と書面で共有してください。
従業員・取引先への説明は、担当と内容を準備する
説明時期は、協議の進み方、契約条件、引継ぎに必要な協力によって変わります。「全員に最初から伝える」「成約後まで誰にも伝えない」と一律に決めず、説明が必要な相手を整理してください。
- 従業員:経営体制、雇用条件、業務、相談窓口について、確定した事項と未確定の事項を分ける。買い手と説明内容を合わせる。
- 主要取引先:契約条件を確認し、納期、品質、担当者、請求・支払方法など、取引継続に必要な事項を整理する。
- 家族・役員:株式や資産の所有関係、退任時期、意思決定に関わる事項を確認する。
誰が、どの段階で、何を説明するかを1枚にまとめ、説明後の質問に答える担当も決めておくと、伝える内容をそろえやすくなります。
借入・経営者保証は、成立前から金融機関と確認する
株式や事業の譲渡だけで、経営者保証が自動的に外れると考えないでください。保証の解除・移行は金融機関等との確認と手続が必要です。買い手の「後で対応する」という説明だけで判断せず、支援者と取引金融機関に、必要な手続と実行条件を確認します。中小企業庁の経営者保証の案内では、保証解除の最終判断が金融機関に委ねられることを説明しています。
- 金融機関ごとに、借入残高、返済条件、保証人、担保、保証協会の関与を整理する。
- 会社と代表者間の貸付・借入、代表者所有の土地建物、リース契約を分けて確認する。
- 最終契約と決済の前に、保証・担保をどう扱い、誰が何を確認するかを支援者と整理する。
金融機関へ相談する時期は、契約や資金繰りにも関わります。秘密保持への希望を伝えたうえで、必要な調整を後回しにしない進め方を検討してください。
買い手面談では、価格と事業の継続策を一緒に確認する
面談前に、質問と譲渡側の希望をまとめておきます。条件が合わない点を早く把握することも、面談の大切な目的です。
- どの事業・技術・顧客基盤に関心があり、譲渡後に何を変える予定か。
- 資金をどう準備し、支払や設備投資をどう進める予定か。
- 既存拠点と雇用について、どのような運営方針を考えているか。
- 代表者と現場責任者に、どの業務をどれくらい引き継いでほしいか。
- 主要取引先への説明と、譲渡後の問い合わせを誰が担当するか。
- 保証、許認可、契約条件など未解決の事項を、どのように確認するか。
回答が希望に合っていても、実行できる根拠や契約上の扱いを確認してください。買い手の調査、契約の条件、決済後の対応については、支援者や必要な専門家と確認を進めます。
広島の公的相談先と、業種別の実務記事を使う
広島県は、事業承継の相談先として広島県事業承継・引継ぎ支援センター、商工会議所・商工会等、取引金融機関を案内しています。親族内承継と第三者承継の比較や、公的な相談先を確認したい場合に参照してください。当サイトは株式会社M&A Doが運営する相談窓口であり、公的センターとは運営主体が異なります。
事業ごとの資料整理は、広島周辺の業種別M&A論点から、製造・建設・介護・物流・食品・宿泊などの詳しい記事へ進めます。
初回相談は、売却するかを判断するために使う
初回相談では、希望条件、資料の不足、考えられる承継方法、次に確認する相手を整理します。相談を始めることと、売却を決めることは別の判断です。検討を続けるか、別の方法と比較するかを考えるために利用してください。
広島M&A総合センターでは、譲渡企業様から相談料・着手金・中間金・成功報酬をいただかない方針です。専門家費用や実費、業務範囲、契約条件は個別に確認します。詳しくは手数料0円の対象と契約前の確認事項をご覧ください。
社名を伏せたい場合は、その希望をお知らせください。詳細資料の共有方法は、秘密保持と開示範囲を確認したうえでご案内します。
このページは一般的な検討事項の案内です。個別の法務・税務・許認可・金融機関対応は、対象会社の資料、契約、関係者の状況をもとに専門家や担当窓口へ確認してください。掲載内容はM&Aの成立や条件を保証するものではありません。

